アフリカ開発会議1日開幕
6月1日4時58分
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アフリカへの支援の在り方を話し合うTICAD=アフリカ開発会議が、1日から横浜市で開かれ、安倍総理大臣は、今後5年間で、官民の合わせて3兆2000億円の資金でアフリカの成長を支援する考えを表明することにしています。
今回で5回目となるTICAD=アフリカ開発会議には、アフリカのおよそ50か国の首脳らが出席するほか、国連の事務総長など国際機関の代表も参加し、1日から3日間の日程で横浜市で開かれます。
会議では、アフリカが近年、年平均で5%以上の高い経済成長を続けていることを踏まえ、強く持続可能な経済、保健や教育などが充実した強い社会、それに平和と安定の3つを主なテーマに意見が交わされます。
初日の1日は、安倍総理大臣が演説を行い、今後5年間でODA=政府開発援助およそ1兆4000億円を含む、官民の合わせて3兆2000億円の資金でアフリカの成長を支援する考えを表明することにしています。
具体的には、内陸部と沿岸部をつなぐ道路や送電網などのインフラ整備支援に6500億円、アフリカから日本に留学する若者に日本の企業でインターンとして働く機会を提供するなどして3万人の「産業人材」を育成する方針などを打ち出すことにしています。
会議の最終日には、議論の成果を踏まえ、アフリカと日本がともに取り組むべき施策などをまとめた「横浜宣言」が採択される見通しです。
アフリカの経済成長
アフリカ経済は長く停滞した時期が続いていましたが、今世紀に入って急速な成長を続け、注目を集めるようになりました。
国連によりますと、アフリカの経済成長率は、去年までの9年間の平均で5.4%に達しています。
この高い経済成長を支えてきたのが豊富な天然資源で、アフリカ諸国の鉱物埋蔵量が世界全体に占める割合は、プラチナが95.5%、ダイヤモンドが58.3%、レアメタルの一種、コバルトは49.2%などと、大半がアフリカに集中する鉱物もあります。
さらに、中国やインドなどの新興国の経済発展により、天然資源に対する需要が伸びて資源価格が高騰したことが、アフリカの成長を促す大きな要因となりました。
国連によりますと、今後も、石油やレアメタルなどアフリカに豊富に埋蔵されている天然資源の国際価格は高い傾向が続くと見込まれており、ことしは4.8%、来年は5.3%と、堅調な経済成長率を維持する見通しです。
また、現在10億人余りの人口は、毎年3000万人とアジアなど世界のほかの地域をしのぐペースで増え続け、2050年には20億人と世界の22%を占める見込みで、「最後の巨大市場」とも呼ばれています。
こうした将来性を見越して、アフリカに対する世界の投資額は増え続けており、国連によりますと、2010年のアフリカへの投資額は550億ドルと、10年前の5倍に増え、アフリカに対する各国の見方は、「援助する対象」から「投資する対象」へと変わりつつあります。
特に2000年以降は中国が急速に進出を強めており、中国とアフリカの貿易額は、おととしまでの10年間で10倍以上に増え、アフリカにとって最大の貿易相手国になっています。
中国は、2000年から3年に1度、中国版TICADとも言える「中国アフリカ協力フォーラム」を開いてアフリカ諸国の閣僚級を集め、大規模な投資や経済援助などを通じて関係の強化を図っており、まさに国を挙げて企業進出を後押ししています。
貧困と飢餓など課題も
経済成長の一方で、アフリカでは、貧困や飢餓など解決すべき課題は少なくありません。
国連は、最も開発が遅れている国々を「後発開発途上国」として集中的な支援を呼びかけており、世界の後発開発途上国49か国の3分の2以上に当たる34か国がアフリカに集中しています。
国連は、2000年に開かれたミレニアム・サミットで、極度の貧困と飢餓の撲滅や、乳幼児の死亡率の削減など8つの分野について、2015年までの15年間で達成すべき数値目標を掲げました。
達成期限まで、あと2年半ですが、国連などがまとめた報告書によりますと、アフリカでは8つの分野のうち5つで目標の達成が危ぶまれています。
このうち、極度の貧困と飢餓の撲滅という分野では、1日に1ドル25セント未満(日本円で126円未満)という極度の貧困の中で暮らす人の割合を1990年の半分に減らすという目標を掲げていますが、2010年の時点で8ポイントしか減っておらず、目標達成は極めて難しいとみられています。
また、5歳以下の子どもの死亡率は1990年の3分の1にまで減らすことを目標にしていますが、マラリアなどの感染症で亡くなる乳幼児が依然として多く、目標達成は困難とみられています。
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