風疹最悪ペースで患者増加重症例も
3月12日 23時40分
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妊娠中の女性が感染すると、赤ちゃんに障害が出るおそれのある風疹が、首都圏などを中心に引き続き最悪のペースで増えています。
患者の大半は成人男性で、中には重症になったケースも報告されています。
専門家は特に妊婦の周りにいる人に予防接種を受けるよう呼びかけています。
熱や発疹などの出る風疹は、患者のせきや、くしゃみを通じて広がり、妊娠中の女性が感染すると赤ちゃんの目や耳、心臓などに障害が出るおそれがあります。
国立感染症研究所によりますと、全国で風疹と診断された患者は今月3日までの1週間で199人に上り、引き続き5年前に今の方法で集計を始めて以降で最悪のペースで増えています。
新たに診断された患者は東京都が84人と突出して多く、次いで神奈川県が28人、千葉県が18人、兵庫県が13人など、首都圏と関西が流行の中心となっています。
ことしに入ってからの風疹の患者は去年の同じ時期の23倍の1303人に達し、全体の70%余りが20代以上の成人男性だということです。
この世代の男性は風疹の予防接種を受けていないことが多く、特に30代から50代前半の5人に1人は風疹に対する免疫がないという調査結果があります。
国立感染症研究所の多屋馨子室長は、「妊娠を希望する女性に加え、特に妊婦の周りにいる男性は危機感を持って予防接種を受けてほしい」と話しています。
一方、厚生労働省は今月末まで無料で予防接種を行っている中学1年生と高校3年生の接種率が、風疹が流行している東京や神奈川など都市部で低くなっていることから、学校などを通じて接種を呼びかけています。
重症になったケースも
風疹は1週間程度で治ると言われていますが、なかには成人の男性が重症になったケースも報告されています。
東京都内に住む25歳の男性は、先月21日、39度台の高熱が出て、翌日から体中に発疹が出始めました。
近くの病院で風疹の疑いがあると言われ、仕事を休んで自宅で寝ていましたが、熱が下がらず、25日、突然けいれんを起こして倒れました。
意識がはっきりしないため、妻が救急車を呼び、病院に運ばれました。
男性の脳は風疹のウイルスによって炎症が起きる「脳炎」になっていました。
男性は当時のことについて「1人でいたら助からなかったかもしれない」と話しています。
搬送された国立国際医療研究センター国際感染症センターの大曲貴夫医師は「治療が遅れると命に関わる状態だった」と言います。
集中治療室で人工呼吸器をつけて治療。
11日間の入院後、男性は先週退院しましたが、高熱が出た翌日から数日間の記憶が失われています。
医師からは、再びけいれんが起きる可能性もあると言われています。
男性は今、風疹の予防接種を受けていなかったことを後悔しています。
男性は「風疹がはやっているのは知っていたが、まさか自分がかかるとは考えていなかった。こんなことになるなら予防接種をしておけばよかった」と話しています。
この病院で、去年の夏以降、風疹と診断された患者は30人以上。
9割が20代から40代の成人でこのうち3人が入院しています。
男性の治療に当たった大曲医師。
成人の風疹の多くは、1週間程度で症状が治まるものの、このままのペースで患者が増えると、今後も男性のように重症化するケースも出てくる可能性があると指摘しています。
大曲医師は「今のまま流行が続くと、第2、第3の重症例が出てくる可能性がある。早急に今の流行を止めるような手を打たなければならない」と話しています。
風疹を巡っては妊娠中の女性に感染すると赤ちゃんに障害が出るおそれがあることから国などが予防接種を呼びかけています。
大曲医師は「妊婦の感染を防ぐことが一番大事だが、実は自分が発症した場合も非常に大変だ」と話し、自分自身を守るためにも予防接種を積極的に受けてほしいとしています。
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