東海道新幹線Ｎ７００Ａ営業運転開始

2月8日 7時29分

東海道新幹線で、６年ぶりとなる新型車両「Ｎ７００Ａ」が、午前７時、東京駅を出発し、営業運転を開始しました。

Ｎ７００Ａは、ＪＲ東海が従来の「Ｎ７００系」に改良を加え、東海道新幹線に６年ぶりに投入した新型車両です。
東京駅には、大勢の鉄道ファンなどが詰めかけ、関係者がテープカットをして、午前７時、最初の列車が出発しました。
外観は、車体に英語のＡという文字が大きく記されているほかはＮ７００系とほぼ同じで、東京・新大阪間の最高速度も時速２７０キロと変わりませんが、地震のときに、より短い距離で停止できるようブレーキの利きを高め安全性を向上させました。
例えば、時速２７０キロで非常ブレーキをかけた場合、従来は３キロから４キロ先で停止していましたが、Ｎ７００Ａではそれより３００メートルから４００メートル短い距離で止まることができます。
来年、開業から５０年となる東海道新幹線は、所要時間の短縮を目標に車両の開発が続けられてきましたが、Ｎ７００Ａは、スピードよりも地震対策などの安全性に比重を置いた車両といえます。
このほか、アップダウンがあってもコンピューター制御で一定のスピードを保つことができる装置を備えたり、トイレや洗面所の照明にＬＥＤを採用し照明の電力を２０％削減したりしています。
Ｎ７００Ａは、来月１６日から山陽新幹線の区間でも運行を開始することになっています。

高性能ブレーキを開発

新型車両、Ｎ７００Ａの最大の特徴は高性能ブレーキです。
新幹線は、スピードだけでなく、安全性の高さでも定評があります。
ところが平成１６年の新潟県中越地震では、上越新幹線の列車が大きな揺れのため脱線しました。
ＪＲ東海では、早くから、地震計を独自に設置し、地震の揺れをいち早く検知して自動的に送電を止め、列車のスピードを落とすシステムを導入したり、揺れで車輪が外れないようレールの内側に鉄の板を設置したりしてきました。
さらに、Ｎ７００Ａの導入にあたっては、より短い距離で停止できる高性能ブレーキの開発に力を注ぎました。
より早く停止させようとブレーキに強い力をかけると、摩擦で高温になり、ブレーキディスクが変形してしまいます。
このためＪＲ東海は、６年をかけて研究を重ね、強い力を加えてもほとんど変形しないブレーキの構造を開発したということです。
開発責任者で、ＪＲ東海の坂上啓車両課長は「地震のとき、より早く止めることで被害を防いだり軽減したりできる。ブレーキを改良することは勇気のいることだが、日本の大動脈を地震から守るため決断した」と話しています。
一方で、東海道新幹線は、来年、開業から５０年となり、橋やトンネルの老朽化が懸念されています。
定期的に補修を行っているため問題はないということですが、東日本大震災のあと、さらに高い安全性を求める声が寄せられたことから、ＪＲ東海は、東京・新大阪間に設置されている２３３の橋と６６のトンネルのすべてを対象に、この春から大規模な改修工事を行うことにしています。

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