2月18日 23時8分
神奈川県横須賀市にあった住友重機械工業の造船所の元社員が、アスベストを吸い込み肺がんで死亡したとして、妻が損害賠償を求めていた裁判で、横浜地方裁判所横須賀支部は、元社員が会社から補償金を受け取った際に、その後は何も請求しないとして交わした念書は、賠償の請求を妨げないなどとして、会社に2750万円の支払いを命じました。
この裁判は、横須賀市にあった住友重機械工業の造船所で、およそ40年間、組み立てなどの仕事をしてきた元社員の菱倉康彦さんが、退職後、肺がんで死亡したのは、アスベストを吸い込んだのが原因だとして、妻が会社に賠償を求めていたものです。
裁判で、会社側はじん肺になったことの補償金として、菱倉さんにおよそ300万円を支払った際に、その後は何も請求しないとする念書を交わしたとして、賠償の義務はないと主張していました。
判決で杉山正己裁判長は、菱倉さんが死亡したのは会社のアスベスト対策が不十分だったためだとしたうえで、「念書は、死亡したことへの慰謝料の請求を放棄すると約束したものではない」と指摘し、会社に2750万円を支払うよう命じました。
会見した菱倉さんの妻(80)は、「ほっとしています。会社には償って裁判を終わらせてほしい」と話していました。
一方、住友重機械工業は、「主張が認められず誠に残念です。判決内容を十分に検討し、慎重に対応したい」とコメントしています。
Download (PDF, Video): (liên hệ Admin)