大気汚染物質九州などで一時的に上昇
2月4日 6時46分
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九州などで、大気汚染物質の観測値が一時的に上昇していることが分かり、環境省は深刻な大気汚染が続いている中国から流れてきている可能性が高いとみて調査を続けるとともに、これまでのところ健康への影響が心配されるレベルではないとして、冷静な対応を呼びかけています。
中国では先月初めから東部や内陸部を中心に車の排気ガスなどに含まれるPM2.5というきわめて小さな粒子の濃度が高くなり、大気汚染が深刻な状態が続いています。
環境省によりますと、先月中旬から今月にかけて福岡県や佐賀県、それに富山県などでPM2.5の濃度が平常時に比べて一時的に高くなっている地点があったということです。
これについて環境省は「汚染物質が中国から風に乗って日本に飛んできた可能性は高い」として調査を続けています。
また、一時的に濃度が高くなっていることについて、影響を心配する声が高まっていて、各地の観測値を掲載している環境省のホームページが接続しにくい状態になっているということです。
環境省は「観測されている数値は健康への影響が心配されるレベルではない」として冷静に対応するよう呼びかけています。
PM2.5の濃度が国内で一時的に高くなっている地点が出ていることについて、大気汚染物質が健康に及ぼす影響に詳しい国立環境研究所環境健康研究センターの新田裕史センター長は「基準値を多少超えたからといって、すぐに重大な健康被害が出るとは考えられない。
ただ、ぜんそくなどの呼吸器や循環器系の持病がある人は、数値が高い日はなるべく外出を控えるなどの予防策を取るのも一つの方法だ」と話しています。
そのうえで新田センター長は「PM2.5は、さまざまな物質が混じり合っていて、それぞれの成分と健康影響との関係についての解明が不十分なところもあり、高い濃度が出たときの短期的、長期的、それぞれの健康影響についての研究を進めていく必要がある」と話しています。